ひとつだけ
『あのね、ケンタ』
うん。
『きょうね、ほいくえんでこんなおハナシきいたんだ。ききたい?』
うん。うん。
どんな?ねぇどんな?
ボクにもおしえてほしいな。
『ふふふ。おしえてあげるね』
うん。
『しぬまえにみるゆめがあるんだって』
え、しぬまえにみるゆめ?
えー。
やだなー、しぬおハナシ?
『ふふ。そんなカオしないできいて』
うん。わかった。きくよ。
『そのゆめにはね、とってもふしぎなおみせがでてきて。ねがいごとをたったひとつだけかなえてくれるんだって』
へぇ!
すごいね。
『でしょ。でもね、もちろん、“しにたくない”とかそういうことはダメなんだって』
え、じゃあなにをおねがいするのさ。
『うまれかわったときにどうしたいかをひとつだけかなえてくれるんだって』
そうなの~?
『でもね、そのねがいごともそうだし、じぶんのまえのきおくもないんだって』
えーそうなの?
そんなの、なんかつまんないなあ。
『そう?でもね、あたしはね、ひとつあるんだ。ききたい?』
うん、ききたいな。
『ふふふふ。あたしね、うまれかわったらケンタのおよめさんになりたい!』
え、ボクの!?
『ケンタは?』
もちろんだよ!
ボクがこんどうまれかわったら、あみちゃんと”ふうふ”ってヤツになるんだ。
フフフフ。
あみちゃんがボクのおよめさんかー。
ステキだなー。
ボクらはみつめあって、そしてわらいあった。