ひとつだけ
「あぁ、いらっしゃい」
え!?
うしろでこえがしてあわててふりかえると、そこにおばあさんがたっていた。
うん、これもやっぱりあのほんにでてきたようなかみのけのいろがむらさきですごーくながくって、めもみみもとがってて。
ホント、いかにもまじょってカンジなんだ。
「おまえはなんて願いごとをしたいのかい?」
え?
「なんだ、おまえはまだわかってないのかい。ヒヒ、おまえはもうね、死んじまったんだよ」
え!
ウソだ!
「ウソじゃないさ。イヒヒヒ」
ウソだ……。
「で、この店はだな、今度生まれ変わった時に叶えたいことをひとつだけ叶えられる店なのさ」
え、それって……。
「ああ、おまえもいつか亜美ちゃんとやらにきいたろ?」
え、なんでおばあさんしってるのさ。
「ウヒヒヒ。わたしにはなんでもお見通しさ」
そっか。
じゃあ、ボクほんとにしんじゃったんだね……。
「ああそうさ。で、おまえはなにをお願いするのかい?」
ホントーにねがったらかなうの?
「ああそうさ。ただし、ねがったことやいまのきおくはぜ~んぶないけどな」
そんなの、かなったかどうかわからないじゃないか。
「ああそうだね。でも、おまえはもしも生まれ変わった時にこうなってほしいっていう願いごとはあるんだろう?」
……うん、ある。
「おまえが願って、おまえの記憶がなくても、それが叶えばステキじゃないのかい?」
まじょはなんだかボクをためすようなカオでみてる。
ステキ。
うん、あのゆめがかなえば、ホントーにステキだな。
「まあいいさ。おまえが願わなければ、あの亜美ってコはきっとね」
え!なになになに?あみちゃんがどうなっちゃうの!?
「おまえが生まれ変わった時にはほかの男と結婚してるんじゃないのか?」
え!
そんなのやだ!
ぜったいにやだ!
「そうだろう、じゃあおまえの願いごとを言ってごらんよ」
わかった。
ぼくはうまれかわったらあみちゃんとけっこんしたいです!
ぼくのおよめさんにあみちゃんをください!