アオハル紙飛行機
「なに!?ジャンケンって!私達のことなんだと思ってるの?」
『あっ、いやあの!どっ、どうしても、強くなりたくて・・・でもどうしたらいいかっ、』
「だからなんで私達!?」
『君、早く逃げなさいもうこのメスゴリラは野生化している』
「うるせえ」
上履きのままアオの足を蹴ると、隣のアオがとうとう痺れを切らして立ち上がる。ギャンギャン言い合いが始まる私達をぽかんとしたまま座って眺めるジャンケンボーイ。
『何お前どうした今日、なんでそんなにイライラしてんだよ朝ごはん食べ忘れた?』
「うっるさいなあもう放課後なんですけど。てかまずアンタに言われたくないんだけどどうした?こんな貧弱な身体して、食うもん食ってんのか?」
『だーかーらァー、俺は世界中が圧巻するムキムキ・・・あれ、全米が泣くだっけ、いや日本旋風か、』
「黙ってくれる?」
アオとの言い合いが疲れた私はソファーに座り直す。そんな私と目が合うと姿勢を正しくするジャンケンボーイ。溜息と共にふざけた依頼をする彼に質問を投げかける。
「どうしてジャンケンなんか強くなりたいの?」
『・・・実は・・・』
「そんなに溜めるほどのもの?たかがジャンケンで」
『俺にとっては“たかがジャンケン”じゃない!・・・です』
決して大きな声ではないけど、心から溢れた声。力強い瞳に私とアオは互いに顔を合わせ微笑む。半ば面白半分というのが本心だけど、正直に今の彼に魅せられた。