アオハル紙飛行機
「いやその前に俺の話を聞けよ」と言わんばかりの呆れ顔で私達を見つめる彼に、私達は相変わらず好き勝手やる。先にいつも折れるのは依頼者側なので、今回も例外なくそうだった。
『恥ずかしい話なんだけど・・・・・・明日の席替えをジャンケンで決めることになって・・・、』
『それは恥ずかしいわ。うん、恥ずかしい』
『俺まだ何も言ってないんだけど!』
「ごめんねアホ井ったら、席替えでいつも1番前の席になるから“席替え”って聞くとちょっとおかしくなっちゃうのよ」
ジャンケンボーイはきっと今更私達に相談を持ち掛けたことを心の底から後悔しているだろう。思いっきり顔から滲み出る戸惑いと苦渋の顔でよくわかる。だがもう遅い。
「で?」
『あ、うん。それで、実はー・・・好きな子と、隣に・・・なりたくて、』
「何それ」
『ご、ごめんなさい』
「素敵過ぎるんだけど・・・!そりゃあジャンケン強くなりたいって思うよ。あーもうそんなことならもっと早く言ってよ」
『(いや、言ってたんだけどな)』
恋バナに騒ぐ私と打って変わって。隣で不良の真似をして脚を大きく開いてふんぞり返り、風船ガムをぱちぱち言わす貧弱女顔野郎は心底嫌そうな顔をしている。
『ぜってーやだね、俺は』
「は?なにいまさら」
『恋のキューピッドなんてまっぴらゴメンだね。なあにが席替えだぶわぁーか!』
「八つ当たりか100%八つ当たりか」