アオハル紙飛行機
部記録その9

ヒーローに憧れるよりもワルモノに憧れる奴の方が純情だったりする









身体中にまとわりつく暖かくて小さくて活気溢れる集団。隣のアオに至ってはしゃがんだが地獄、頭の上にまで乗っかられて貧弱ボディが悲鳴を上げている。





『おい、シハルはあっちでオレ達と野菜ごっこするんだ!』

『だーめぇ!シハルくんもアオミちゃんもマコちゃんたちとおままごとするの!』

『「どうしてこうなった・・・!』」





ここは保育園。私達は只今、絶賛保育園児達に囲まれて格好の的にされている。


こうなるのにはもちろん理由があって、それは遡ること放課後始まってすぐのことだった。


本日の部活もいつも通り私は勝部先輩、アオは真奈美ちゃんに夢中になっていたが。





『ごめんお願い!頼めるのアオハル部しかないの』



バレー部のジャージ姿の仙台 真琴は私達の部室前の扉で懇願するように両手を合わせて慌てて作ったのか下手くそな紙飛行機を脇に挟んでいる。





「真琴そんなに慌ててどうしたの?」

『実はさあ、今日母親に妹の保育園のお迎え頼まれてたんだけど急に部活のミーティング入れられちゃってさあ』

「あれま」

『で、代わりに青海達に迎えに行ってもらえないかなって。もう保育園には連絡入れてあるし、名前は伝えてあるし制服だから大丈夫だと思うんだけど、念のための学生証見せてくれればおっけだと思うからさ』

「依頼する前にもう決めちゃってんじゃん」






けたけた笑う私に真琴も「ごめんごめん」と言いながら笑う。真琴とは1年生の時からの仲で妹ちゃんにも1度だけ会ったことがある。







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