アオハル紙飛行機
そうして口元だけを動かし、「あほ」と吐き捨てた。ので、私は容赦なくアオの後頭部にグーパンチをお見舞いした。
『つぎはーっ!オレ達と遊ぶんだぞーっ!』
マコちゃん達が飽きるまでおままごとに付き合って、やっと休憩かと思えば次は男の子達の集団に囲まれる。
「何やるのー?」
『ヒーローごっこ!』
「え!じゃあ私お姫様?」
『ちがう!アオミよりもお姫様お似合いな奴いるじゃん』
「えぇー誰よ」
ぶーっと下唇を出す私に男の子達は一斉に疲れ果てているアオを指差す。キョトンとするアオに男の子達は笑いながら大声で叫ぶ。
『お姫様はシハルだろー!可愛いもん!』
『はあ?やだよ俺ヒーローがいい!』
『えぇ〜、でもシハルがやっていいヒーローはピンクだかんな』
『絶対レッド。俺レッドしかやりたくない。レッドならやってもいい』
「我儘かよ」
保育園児相手に本気で言い合いをするアオ。これは大人の視点からの子供に対する対応としての真剣ではなく、コイツはありのままで真剣なのだ。所謂正真正銘の馬鹿なのだ。
『ワルモノはー、じゃあアイツ!ケンタお前ワルモノな!』
『・・・ボク?』
『いっつもワルモノだから、べてらんだろ』
みんなに指さされて悪者指名された男の子はしょぼんとしたまま何も言い返せず黙り込む。