アオハル紙飛行機
『ちゃんとケンタの声で、言ってみ?お前は何がやりたいの?』
『・・・・・・ひ、ろー』
『ん?』
『ヒーロー・・・!』
『そうか』
ケンタくんは掠れそうな、それでも強い声で叫ぶ。アオはそれに嬉しそうに笑うと繋いでいた手を離して上に上げる。
『俺は今ヒーローのレッドだ。俺に勝ったらレッドとワルモノ交換してやるよ』
『うん』
『負けねえかんな。じゃーんけーんっ』
ポイ、で出された大きな手はチョキで、小さな手はグー。その瞬間、胡座をかいていたアオが「あー負けた最悪」と言いながら土の上に倒れた。わりと本気で悔しがっているが見逃そうと思う。
その代わりに飛び上がって喜ぶケンタくんは嬉しさのあまり男の子達の元へ行ってアオに勝ったと自慢する。それにすげえすげえとアオにジャンケンでぼこぼこにされた男の子達はケンタくんの周りに寄る。
私はアオの所に行って、立ち上がって制服についた土を落とすアオに謝ろうとする。
「アオ、ごめん私は、うわっ!ちょっ、」
『ほら、お前らお姫様助けんだろ?やってみろよ。お前らなんて木っ端微塵にしてやるよ』
近づく私に気づいたアオは私の腰に腕を回して引き寄せる。そして騒ぐケンタくんたちにベロを出してお似合いのワルモノを演じる。演じるといかいつものアオだ。