アオハル紙飛行機
「なんかあったら言ってね。あ、オススメの美容室紹介しようか?」
『あ!いえ、私、髪切るの得意なんです。今から帰って明日のために髪切ります』
「え!すごーい。今度私のも切ってほしい」
『はい喜んで!本当にありがとうございました』
頭を深々と下げて出て行こうとする静川さんに「あ、待って」と思い出したようにアオが声を掛ける。
振り向いた静川さんにアオはとびっきり優しい笑みを浮かべる。そして彼女の目の前にある扉のアオハル部の貼り紙を指さす。
『紙飛行機は今度、牧田くんと2人で作って持ってきてよ。アイツ、紙飛行機作んの天才だから』
静川さんは嬉しそうに笑うとら大きく頷いて部室を後にした。
「・・・・・・・・・あのさ、なんで相手がジャンケンボーイだってわかったの?」
『逆になんでわかんなかったの』
「黙れクズ」
『まあ俺が天才だからかな。名探偵アオイになろうかな』
「見た目は貧弱心も貧弱な」
『うるせーな』
アオは少女漫画をペラペラ捲りながらその口の中には相変わらず風船ガム。私のことなど見ずに淡々と声だけを返してくる。
「悔しいー。私、必要なかったじゃん」
『馬鹿か。ハルが静川さんの心こじ開けたから今日の結果があんだろ』
「・・・・・・べっつにー」
『素直に褒められろよ可愛くねーな』
キッとアオを睨みつけてその透き通るような頬を片手で鷲掴みにする。ゆらりとやっとこさ私に焦点を合わせられた瞳は心底鬱陶しそうに私を見つめている。