アオハル紙飛行機






私とアオはここぞとばかりに姿勢を正しくし、山吹先輩を見つめる。





『じゃあ、英語からやろうか。教科書見せて。範囲は?』

「えっと、あ、教科書14ページから42ページです。英作文を重点的にやれって先生が言ってました」

『だそうです』

「もしかしてアオ、聞いてなかったの?」

『聞いてるけど頭には入ってないみたいな』

「馬鹿じゃん」





と言えば、隣から肘タックルが飛んでくる。喧嘩になる私達に前の席から大きな咳払いが聞こえてきて慌てて視線を正す。




『じゃあいくつか問題出すから答えてくれる?』

「押忍!」

『あーい』





山吹先輩は「えーと」と教科書を眺める。鼻息の荒い私と隣で気だるげにペン回しをしながら、死んだ魚の目をするアオに声だけで問題を出す。




『カッコの穴埋めだけだとそこしか覚えないから、全文答えて。じゃあいくよ』

「はい!」

『じゃあ簡単そうなのから・・・〈手紙を出したいんだけど、郵便局まで乗せて行ってくれる?〉はい英語にして』

「・・・ん?ちょっと、もう1回お願いします」

『あ、あー、俺も耳のシャッター上げ忘れてました』

『はあ・・・、ちゃんと聞いて。〈手紙を出したいんだけど、郵便局まで乗せて行ってくれる?〉』




しーん、と沈黙が生まれる。

目の前の山吹先輩を見れば「ん?」なんて首を傾げ、私達を見守っている。隣のアオへ視線を送れば、アオは机の下で拳を握り締めて何度も振っている。



これはあれだ。ジャンケンで負けた方が答えろということだ。私とアオは山吹先輩にバレないように机の下でジャンケンをする。







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