アオハル紙飛行機




自分で言って恥ずかしくなって黙ったままのアオの脇腹にグーをめり込ませる。と、アオは痛みで唸った後、苦笑いしながら言葉を発する。




『俺はー、先生の催眠術にかかりやすい体質らしくてよく夢の国に・・・後は、漫画読むかスマホいじってます』




愕然とした表情を浮かべて何も言えない山吹先輩にコンマ数秒で開き直った私達はけらけら笑う。




「いやあ、名前しか書けないかもですよねー」

『ハル、選択問題なら勘が当たるかもしれない』

「さすがアオ。それでいける」

『いや君ら何言ってんの』





こんな馬鹿は出会ったことがないと言わんばかりの顔で山吹先輩も言葉が容赦ない。





『もしかして明日テストなのに今日までノー勉なんてことは・・・』

「うふふふ」

『山吹先輩のご想像にお任せします』

『はいノー勉ねわかりました取り敢えずやろう。手遅れだけどやれるところまでやろう』





さすが優しい山吹先輩。アオと2人で山吹先輩に向かって拍手すれば「そんなのいいから」と一蹴される。もう私もアオも隠すことなく学力をお披露目できるということなので。





『さっきの答えは〈I need to mail this letter. Will you give me a ride to the post office?〉ね。』

「あーっ、惜しい!」

『え、ごめん何処が?』

『でもさ、レターアタックの方が手紙を出したいって気持ちが溢れてると思う』

「それ私も思った。簡単な気持ちで手紙出そうとしてないよね、レターアタックは。本気だもん、熱意伝わって絶対郵便局まで乗せてもらえると思う」

『君ら何言ってんの。まずレターアタックじゃ通じないから』





もう時間が無いという事もあって、説明などは必須以外は省いて兎に角暗記する方向になる。






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