アオハル紙飛行機





『イギリスが植民地の独立を認めた、1783年の条約は?』

「メソポタミア文明!」

『なんで!?条約って言ってんじゃん!』

『カシューナッツ条約いえーい!』

『どうせ青井くんが食べたいだけでしょ』

『バレた・・・!』





ぶっ壊れた私達とは違って冷静に、そして白目向きそうな山吹先輩は泣きそうになっている。




『パリ条約ね。しっかり覚えて。次、1789年、アメリカ合衆国の初代大統領に選ばれたのは誰?』

「うーん・・・アンパンマン?」

『はい違います』

『そうきたらバイキンマンだろ』

『そうなる思考がもう・・・ワシントンね。これ一般常識ね。はい次、フランス革命前の矛盾に満ちた旧体制のことを?』

「盾と矛!」

『矛と盾!』

「『ふぅう〜!」』

『アンシャン・レジーム。はい次ー、』

『あれ、心做しか山吹先輩冷たくない?』

「冷たいっていうか、死にかけ?」





山吹先輩はもう限界を超えたのかひたすら機械のように声を発するだけになってしまった。突っ込みすらない。





「山吹せんぱーい、生きてます?」

『・・・春井さん達はよく高校に入れたね』

「えへへ、よく言われます」

『いや褒めてないよ』

『受かる自信ないんで緊張もなく受験したら受かりました。あの時の鉛筆のおかげっすね』

『なんで青井くんも誇らしげなの』






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