アオハル紙飛行機
私は山吹先輩から目を逸らさず、下手くそでも何でもいいから、伝えたいことを必死で伝える。
「未知を歩けば道になる。私は綺麗に整備された道を歩くよりも、私にしか歩けない未知を歩きたいって思います」
『・・・大変じゃない?』
「何言ってるんですか。生きてる内しか苦労なんてできないし、第一、苦労を楽しむことこそ人生の醍醐味だって森さんがいってました」
『森さん?』
「ここの用務員さんです」
私の自信満々な顔を見つめて山吹先輩が思わず吹き出して笑う。大きな声で笑う山吹先輩は何処か良い意味で投げやりになった気がする。
そこで頬杖をついたアオが真っ直ぐと山吹先輩を見つめて、穏やかな瞳を細めて口元を緩める。
『山吹先輩は“なれるもの”になるんですか?それとも、“なりたいもの”になるんですか?』
アオの言葉はいつだってその人の核心をつく。
山吹先輩はアオの言葉にきゅ、と唇を結んだ。そのままアオを見つめ返していた山吹先輩は目尻を緩めてふっと微笑んだ。