アオハル紙飛行機
部記録その13

ホラー観た後のお風呂で目は瞑れないし、とにかく後悔の念がすごい





いつも通りのぐっだぐだな放課後。

梅雨も明けた7月は残りの日にちを消化して夏休みを待つだけだ。



夏空の下。汗と土に塗れて、暑さを諸共せずに練習に励む勝部先輩ほどかっこいい人はこの世に存在しないな、なんて本気で思いながら本日も双眼鏡で先輩を見つめる。





「2日ぶりの勝部先輩だああああ・・・!」

『うるさい』

「野球部、昨日の試合勝ったんだって!だって勝部先輩率いるチームだもんねえ、甲子園行ってほしいなあ」

『でも野球部って毎回県ベスト8止まりなんだろ?』

「うっるさいなあ!今年は行けるって!あー応援行きたい。学校休んで行きたかった。どうして私達の高校には全校応援がないの?ねえなんで?」

『俺に聞くなよ。てかあっても行きたくねー日焼けやだもん痛いもん』

「女子かよ」





後ろからやる気のない気だるげなアオの声が届く。私はそれに声だけで返事をしながら瞳はスポーツドリンクを飲む勝部先輩だ。そのスポーツドリンクを私にください。






「勝部先輩がもし負けちゃったら──・・・もうこの部に存在意義なんてないもん」





どう頑張ったって年齢差は埋まらない。

勝部先輩は3年生で、私は2年。

勝部先輩は今回の試合で負けてしまったら引退で、そしたらきっともうこんなふうに勝部先輩を見ることなんてできなくなってしまう。





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