アオハル紙飛行機
アオと設楽会長で遊んでいれば彼が目を覚ます。慌てて2人で姿勢良く並んで目覚めの設楽会長をお出迎えする。
『悪い・・・寝てしまっていたようだ』
『強がんなくていいっすよ気絶先輩』
「アオも人のこと言えない」
『俺はァ!気絶してないもん絶叫はしたけど』
設楽会長はゆっくりと立ち上がり、私達に出るぞと視線だけで合図をするとさっさとオカルト部を後にする。目だけで人を動かせる男こわすぎる。
外に出ると、黒幕ばかりの部屋で気づかなかったが夏にはしてはなかなかの日暮れ時だった。
無言で前を歩いていた設楽会長が私達に背を向けたままはっきりとその声を私達に届ける。
『──山吹のこと、助かった』
「え?」
突拍子もないそれに思わず聞き返したが、すぐにきっと山吹先輩の将来のことだと気づく。
あの後、山吹先輩に何度か会って話をしたが、教員になるための大学に進むことを決めて勉強に励んでいるらしい。
ゆっくりと振り向いた設楽会長はほんの少し悲しそうに微笑んでいる。いつも強気で独裁で絶対的自信のある設楽会長のそんな顔は初めて見る。
何気なくアオに視線を持ち上げたが、アオはいつも通り死んだ魚の目で突っ立ったまま、何を考えているのか全然わからない。