アオハル紙飛行機
部記録その14
自転車の2人乗りは胸の音以上にバランスが大切
『はい静かに。出席取るぞー、綾部・・・は、大会で公欠、と。猪瀬』
『はーい』
2限目の授業が始まり、先生が出席を取る中、私は机に突っ伏して悶々としていた。
『野口ー』
『あい』
『春井ー』
今日、勝部先輩は試合で、休み。試合は8時半からなのでとっくに始まっている挙句、もしかしてもう試合は終盤になっているかもしれない。野球のこと、全然知らないけど。
『おーい、春井ー』
「・・・・・・」
『ちょっと、春井青海さーん?』
「・・・・・・」
会場は割りと近いし、急いで行けば自転車で10分で着く。だめだ、そんなことできない。私は、先輩の何の存在でもない。
何の、存在でもない、のか。
ずっとずっと、見てきた勝部先輩は、今日のために、試合のために、頑張ってた。
練習での姿はどれだけ知っていても、先輩がどんな顔で、瞳で、姿で、試合に臨んでいるのかを、私は何ひとつ知らない。
それが、現実。ただただ単純に見てただけでそれじゃあいざ応援したくても何も出来やしない。
ガン!
溜息と共にごちゃごちゃな感情を1度忘れたくて頭を少し浮かし、そのまま思いっきり机に打ち付ける。案の定、鈍い音がして隣の席の真山くんがびっくりして私を見たのが視界に入った。