アオハル紙飛行機




会場に着いて私が自転車から降りた瞬間、アオは自転車に跨ったままそれを支える体力さえもなく、自転車と共倒れした。



私は溜息を着きながら、か細い呼吸だけを繰り返し死にそうなアオに声を掛ける。





「1、起こす。2、放っとく。3、待つ。どれがいい?」

『・・・・・・2』

「おっけ、先行ってるね」

『・・・うわ、まじで・・・?』




私は容赦なくアオを放って会場内に向かって走り出す。夏空と熱気と声援に溢れた会場にまだ試合が終わってませんようにと応援席の階段を上がる。





「うわあ・・・!すごい」





階段を上がり終え、目の前に広がるのはグラウンドで戦う選手達。応援席は沢山の応援の人達で溢れていて、後ろの電光掲示板を見れば私達の高校の名前があって、まだ試合は終わっていなかった。



私はすぐ近くの席に座り、勝部先輩を探す。彼はバッター用ヘルメットを被って、1人スイングをしていた。私達の高校が攻撃の番なのかと、気づき両手を握りしめてひたすら祈る。






『・・・あ、いた』

「アオ、はいこれ」

『わーい』





強ばる私に緊張の糸をぶった斬る間延びした声が届く。そちらを向けば衰弱し切ったアオがこちらに歩み寄ってきた。



私は会場の階段横にあった自販機でポケットに入れっぱなしだった150円で買ったスポーツドリンクを渡す。






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