アオハル紙飛行機
部記録その15

夏になると暑さでおかしくなった奴は大体「寒い」って言いながら自滅する










「ねぇアオ飲み物取って」





いつもの習慣はなかなか抜けないものだ。応答がなく、思わずキレそうになる。が、すぐに今の状況を思い出し、馬鹿な自分に溜息が零れる。




「・・・アイツいないんだった」





蝉の鳴き声が夏の暑さを助長させる。季節特有の鳴き声を楽しむ余裕も暑さに消されて、思わずしかめっ面になってしまった。




8月21日。絶賛夏休み中にも関わらず、私は相も変わらず部活に励む勝部先輩を部室から眺めている。本日もどうしてそんなにカッコイイのかを自由研究にしたいレベルである。





いつもだったら、風船ガムを割る音。少女漫画のページが捲られる音。たまに真直ぐな暴言を背中で感じていたのに、今日は、何の音もない。無音。





空を見上げて、よく聞く「空はつながってるよ」なんて名言を思い出してはひねくれ者な私は舌打ちをしてしまった。






「繋がってても何もできないじゃん」





喋ることも、見ることも、暴言を吐くことも、喧嘩することもできない。







< 199 / 421 >

この作品をシェア

pagetop