アオハル紙飛行機
アオハルです
B棟校舎裏の東側にいた私、春井 青海〈はるい あおみ〉は、西側の渡り廊下に向かう途中の角を曲がり掛けた。そして思わず条件反射のように身を潜めた。
そこには見慣れた男と、見知らぬ女子生徒。なんとも絶妙な立ち位置で私から2人の表情は丸見えである。
『あの・・・ずっと青井くんのこと見てて、その・・・す、好きなんです。付き合って下さい・・・!』
C棟西側校舎裏にて告白される私の見慣れた男、青井 紫春〈あおい しはる〉は「あー・・・、」と困ったように、否、心底彼女に興味は無さそうに綺麗な双眸で頭を下げる女子生徒のつむじを見つめていた。
奴がモテる噂はこの高校では空気のように蔓延しているので驚きは無い。が、如何せんきちんと見るのは初めてだ。
私は興味津々で、首から下げた双眼鏡を持ち上げて彼らに狙いを定めて傍観に徹する。
彼は音にならない溜息を零す。首裏に右手を回し意味もなく擦りながら「顔上げて」と目の前の女子生徒に告げた。
その色白な肌に、あまりにも綺麗な顔立ちに数多の女が騙される。