アオハル紙飛行機




こんな事になるなんて全く思っていなかった私は、夏休み前のお調子者の自分を疎ましく思う。私の横で平然とのたのた歩くアオも思い出しては腹が立った。





◇ ◇ ◇




「今年も夏休みは部活有りね」

『あ、じゃあ俺休部で』

「は?」

『姉ちゃんが海外で挙式あげるからそのついでに夏休み中は家族でほとんど海外に居る』






この野郎金持ちかよ。くたばれよ。てかアオお姉さん居たのかよ。しかも結婚すんのかよ。つーかお前ん家金持ちかよ。英語喋れねえくせに生意気かよ。私も行きてえよ。え?てか私夏休み中部室で永遠1人独り孤独?とか色々衝撃を受けて固まる私に、





『なあに、ハルちゃん。もしかして俺と会えなくて寂しいの?』






なんて隣を歩いていたアオが私の顔を覗き込んだ。ポケットに手を突っ込んだまま、楽しむような笑顔を片手で鷲掴みにした。





『ごめごめごめっ、痛い・・・!こないだ真奈美ちゃんがこの台詞でドキッとしてたから言ってみたかっただけだから!』

「ほお?私がそれでドキッとすると?」

『逆だろ。ハルが俺いなくても平気なの知ってるから言ったんだろーが馬鹿取り敢えず離してあああいだいっ・・・!ちょ、マジでいだだだ』






そんなわけで奴は本当に私を置いてさっさと日本を旅立ちやがった。あの時のお気楽な顔を思い出して近くにあった壁を殴ったら手が痛かった。






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