アオハル紙飛行機







ほろり、と零れ落ちた言葉に自分で1番驚く。つまらないなんて、思うはずないのに。だって私は勝部先輩を見たいがためにわざわざ夏休みに部室に来て、依頼人なんて居ないくせにひたすらずっとここで、勝部先輩を見つめてる。





大好きな人を、誰にも邪魔されずにずっと見ていられるなんて、これほど幸せな時間はないはずなのに。




つまんないなんて思うのは、変だ。





考え過ぎて、夏の暑さで、頭ががんがんと痛む。眉間にシワを寄せてこめかみを抑える。もう片方の手を後ろに投げ出して何かを受け取る準備をする。






「アオ冷えピタ取って」





なんてまた。私は兎に角学習能力がないらしい。もう部室前にアオのお墓でも作って、毎朝拝んでから部室に入るようにした方がいいのかもしれない。




そうしたらアオが帰ってきたら何というだろうか。どんな顔をするだろうか。きっと、大声上げて私を睨みつけ、意味不明な事を言いながら内心少し傷ついていて、釘を刺せば悔しそうに私の頭を叩いてくる。





それがあまりにも安易に想像出来て、そんなアオに思わず声を出して小さく笑ってしまった。





そうして笑い終わった後、もう1度空を見上げて。やっぱりあの名言は私にとってはアテにならないなと思いながら、心の言葉を吐露する。






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