アオハル紙飛行機
私の気も知らずにへらへらしやがって、まじうぜえなんなんだよコイツ。私のさっきの傷心時間返せよ本気で無駄な時間過ごしちゃったじゃんかよ畜生。
下唇を噛み締めて、アオを睨みつける。アオは気だるげな顔を緩ませて会話を続けていたが私と瞳が合うと、へらへらしたそれがなくなる。
ふわり、と頭の上にアオの大きくて暖かくて不器用な優しい手が乗って。視線をアオへ戻せば、口角を優しく引き上げ、目尻を落として微笑している。
『──俺が寂しくなって早くハルに会いたくなって帰ってきた。そんだけ』
そんな嘘のない優しい瞳で、声で、言われてしまったら。どんな顔をしてどんな返事をしていいのかわからない。視線を逸らせばアオの手が何事も無かったかのように離れる。
『俺、空は繋がってるよ理論反対派だからさあー。つーかまず英語話せないし飯合わねえし引きこもって結局1人で少女漫画読んでたし』
「・・・うっわ、海外無駄遣い」
『シャラァアアアッップ・・・!いいんだよ、姉ちゃんの結婚式で姉ちゃんの鼻の穴だけ写真撮れたからそれでいいんだよ』
「お前なんなの何しに日本出てったのてかお姉さんに土下座して土に埋まれよ」
アオは私の横を通り過ぎさっさと部室に入る。そして持っていた沢山のお土産の袋を机の上に置いた。それに飛びつく私。