アオハル紙飛行機
私は黙ったままグランドの方へ視線を戻し、ゆっくりと言葉を落とす。アオの優しさは確かにその通りだけど、正しくない。
「──私も空は繋がってるよ理論反対派」
アオからの応答はない。それは無言の頷きだ。ただ静かに私の話を聞き入って言葉の続きを焦らさずに待っている。
「2人なら寂しくないって誰にでも当てはまると思ってんなよばーか」
『・・・え?』
確かに1人は寂しい。でもそれは人肌恋しいとかそういうのじゃない。誰でも傍に居てくれれば満たされるとか、そんな簡単なことじゃない。誰でもいいとかそんなもんじゃない。
「ここはアオハル部で私とアオの部室。そこに居るべきなのはを私とアオでしょ」
顔を見て言えるほど素直ではないけれど。それさえも甘えられるのはアオだからだ。
「──────・・・おかえり、アオ」
アオは私の言葉に少し空気を揺らして柔らかく笑う。と、いつもの気だるげな声を私の背中に飛ばした。
『ただいま、ハル』
きっと今、アオは目を細めてほんの少しだけ口角を上げて優しく微笑んでいる。
夏になると暑さで
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おかしくなった奴は
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大体「寒い」って
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言いながら自滅する
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