アオハル紙飛行機
『はじめまして。勝手に自己紹介します。2年3組、〈真奈美ちゃん一筋〉の青井 紫春です。以後よろしくしなくていいです別に』
「2年4組〈ゴリラ一筋〉の春井 青海です。勝部先輩の情報はすぐに私に垂れ流して下さい。よろしくお願いします」
飛田くんのクラスメイトたちは私達の顔を見ては、〈それ〉を見てを繰り返す。
それとはまさしくお手製ビブスだ。材料はダンボール、マジックペン(太)、そこらへんの紐。
昨日あの後、用務員の森さんに段ボールを貰った私達は2つの段ボールを紐で繋いでそれを頭から被って装備しているのだ。
そしてそれぞれの段ボールの前後にはデカデカと自己PRが書かれている。アオは〈真奈美ちゃん一筋〉。私は〈ゴリラ一筋〉。
残るは1人。
飛田くんは廊下で俯いていたけれど、ぎゅううう、と拳を握りしめる。その拳でどんどん、と段ボール越しに胸を叩くと顔を上げて走って教室に入る。