アオハル紙飛行機








どうしたものか、と思った瞬間。目の前の男子生徒が意を決したように口を開いて私達を見つめて困り果てたような掠れ声を出した。







『───部活の友達が、いじめられてるんです』


「は?」

『・・・・・・』








私は彼の言葉に、思わず彼がいじめている訳じゃないのに思わず低い声が落ちた。隣に座っているアオもぴくり、と反応して少女漫画を読む手を休めると無表情のまま彼の方へ視線を向けた。







「部活って、」

『剣道部です。俺、1年の蓮見 静流〈はすみ しずる〉です。その友達は、長瀬 友弥〈ながせ ともや〉です』

「・・・・・・その、長瀬くんは、どうして、」







あまりに突然聞くそれは重た過ぎて、心の準備をろくすぽしていなかった私にぐっさりと突き刺さる。身体の底から鈍く重い感情がどろどろと不愉快に蠢き回る。





蓮見くんは悲しそうに、不甲斐ない気持ちを身体いっぱいに滲ませながら縋るように声を落としていく。







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