アオハル紙飛行機
部記録その2

恋する乙女は四六時中パンダ







4月半ばを超えてくると、まだ初々しさを残しつつも学校生活に慣れた新入生の浮き足立ちが消え始める。






『ハル』

「忙しい」

『暇じゃね』

「忙しいっつってんでしょ」

『双眼鏡顔面にめり込ませて鼻息荒くしてんのが忙しいんすかそうすか大変っすね』






今日も相変わらず2人きりのアオハル部。 双眼鏡でゴリラ先輩こと勝部先輩を見つめ続ける私と、少女漫画を読み耽るアオ。



だがアオは飽きてしまったらしい。



彼の「よっこらしょ」なんて親父そのものの声が背中に届く。そして彼はそのままソファーから起き上がったのだろう。





『アオハル部ってなんなの?』

「部員が何言ってんの?」

『部長な。今日部室来る途中で1年が話してた』

「部長は私」

『いやハルは不細工が長所と書いて不長だから』

「ふざけんな」





アオの声が背後からどんどん近くなって「どーん」と言いながら私の頭の上にアオの顎が乗る。




椅子に座る私の背中にアオの体温がじんわりと染み渡る。アオは疲れたのかそのまま私の首周りに手を回す。






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