アオハル紙飛行機









体育館裏いっぱいに響き渡る叫び声がどこまで聞こえているかはわからない。それに一瞬怯えたような先輩たちだったが、それよりもこの上ない屈辱に怒りの沸点はとうに到達し切って破裂したらしい。







顔を真っ赤にしてブチ切れる15名様。ああやべえなこれ女とか関係ねえなーなんて意外と冷静に受け止めながら、私もこの後に及んだので言いたいことを言わせてもらう。









「つーか全員ださい」









ぼそり、と零したはずなのに怒りがキャパオーバーすると耳が良くなるのか全員がこちらを向いて殺気立つ瞳で睨みつけてきた。あ、怖いわこれ、アオとか比にならない。





1人が私の胸倉を掴むように手を伸ばした時、私の視界に華奢なそれが広がった。










『はいはいお兄さん、ストーップ。そーんな怖い顔して、ハルに何しようとしてんの』



「・・・アオ、」







視界いっぱいにアオの背中。柔らかい声で1人を宥めるようにその手を取ると、顔は見えないが、アオの雰囲気がゆらりと変わる。










『────────・・・ぶっ殺すぞ』











そう、どす黒く低い言葉がアオから落とされて私も驚く。全く響かない小さな囁くような声なのに、本当に殺しかねない、それくらい本気の声色だった。






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