アオハル紙飛行機







そこにアオの間延びしたわざとらしいアナウンサー口調の声が入る。











『本日、“赤信号みんなで渡れば怖くないゲス共”撲滅運動にご参加下さったのは、野球部43名、サッカー部57名、テニス部男女89名、生徒会の皆様、その他にもバスケ部バレー部吹奏楽部等の大勢の方々です』









2階にある体育館の廊下にも次々と生徒達が溢れ出して、私達は囲まれる。そして多くの人間が先輩たちを冷めた眼差しで見下ろしている。負け犬に呆れた視線を送るような空気。






アオはぴたり、と作り笑顔をやめて、先輩方を見据える。誰よりも奥底に澱む憤慨を抱えながら。









『───自分らがやってることが“間違ってない”なんて思ってんじゃねえぞ』








それだけ言い捨てたアオは私と蓮見くんの手を取ってさっさと歩き出す。そして生徒会の元に行くと設楽会長に軽く頭を下げる。








『ありがとあんしたー。ほんじゃ、後は頼みまーす』

『ああ、“ゲス共”を処理するのも俺達の仕事だからな。信号の渡り方を教えてやるつもりだ』








設楽会長はアオ同様、冷徹な瞳で愕然とする先輩たちを見据え凛とした姿で歩き出した。あの大勢をまとめあげるのも会長なら余裕だろう。






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