アオハル紙飛行機






別にこれは私達にとって日常茶飯事。特に気に留めることでもない。パーソナルスペースが近いってよく言われるけど。





『ねえ!見て見てあれ、あそこの、あの人が青井先輩だよね』

『え?どれ?どこ?あ、そうそう!えっ、青井先輩の彼女かなあの人』

『後ろから抱きしめられてんじゃん!あれ?でもあの人春井先輩じゃない?』

『あっ、本当だー。アオハル部?だっけ、あの人達』





青春真っ只中の恋する高校生からしてみれば、話のネタには大いになるらしい。



部室棟の前はよく下校生徒が通る。私1人で双眼鏡ストーカーまがい行為をしている時はひそひそされるだけだが、そこにアオが加わるとこのザマである邪魔である。





「アオ邪魔」

『とか言って?』

「いや邪魔」

『はいはいわかったわかった』

「・・・・・・」

『・・・・・・』

「・・・いやわかったなら退いて?」

『なんで?』




盛大に溜息をつく。野球部が休憩に入ったので休憩中の勝部先輩もガン見したいのを抑えて、頭上のアオを見上げる。



特になんといった表情もしていないアオ。一体なんなんだ何がしたいんだコイツは。と眉間にシワを寄せれば首に回っていたアオの手が私の頬を鷲掴みにする。




『──なんで俺を誘ったの』





アオの突拍子のない言葉に首を傾げようにも頬を鷲掴みにされているのでできない。でも私の顔で理解出来ていないと察したアオは言葉を言い直す。






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