アオハル紙飛行機










私が教室に入っていた時にはいなかった故原くんが何処かからお帰りになったようで、アオの隣のロッカーに手を突っ込みながら私に微笑む。本日もピアスが大量。







「ねえ聞いてよ故原くん、アオが体操着貸してくれないの」

『えっ、紫春それはないよーひどいよー』

『ばっか貸そうとしてんだろ』

「ねえ故原くん、この時期レディーに半袖短パン貸すとか有り得なくない?」

『うーわー紫春さいてー。俺だったら平野ちゃんに絶対長袖長ズボン貸すね』

「え?」

『え?』

『ん?』








故原くんの言葉に反応する私とアオ。故原くんはそんな私達を見て、逆に固まる。未だに黙ったままの私より先にアオが無表情のまま口を開く。








『なんで平野さん出てきた』

『・・・え?あれ、え?俺いま平野ちゃんの名前出した?』

「もうそれはバッチリ」









こくこく、と2人で頷けば故原くんは自分で言っておいて戸惑っている。

何これまさかあれか、あれなのか、なんて思いながら緩む頬を我慢して、チラリと隣のアオを見れば奴は我慢することなく、にんまり、気持ち悪い微笑み方をしている。






故原くんはあたふたしながらどうして自分が夏子の名前を出したのかを自問自答している。そんな故原くんを見つめる私ときもいアオ。






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