アオハル紙飛行機








ギギギ、とジャージを引っ張り合いながら、私は少し負けそうになりつつ、物凄い顔でジャージを引っ張るブサメン代表のアオと交渉に入る。








「わかったわかったアオくん、長ズボンは君に渡そう。それで私が長袖を着る。これでどうだ?」

『ふっざけんな女子が生足つえーのなんて全国男子が知ってんだよ!そうはさせるか俺はどっちも防寒する』

「可愛い素敵女子の生足年中無休で拝めてるんだからそこは謙遜して譲れよ理解しろよ。男子の萌え袖とか要らないから!」

『ハルの生足見るなら豚の足見てた方がマシだ!ばかなめんなよ俺の萌え袖パネエぞくそ可愛いかんな』

「・・・それはわかる」

『はい俺の勝ち』

「ふっざけんな私を半袖短パン姿にさせるなんてお前それでも男か!」

『まな板に大根の皮付いたレベルだろ誰も興味ねえよそんなの!』







交渉決裂。思いっきり引っ張り合いが加速したところで、視界の隅で溜息をつく夏子の元に歩み寄る大量ピアスが1人。







『平野ちゃん!!!』







そのあまりにも大きな声に夏子はもちろん。私もアオもビックリしすぎてジャージから手を離すとはたりと、それは床に落ちた。




2人とも拾い上げるのさえ忘れて故原くんと夏子を見つめる。故原くんは真剣な瞳で姿勢を正すと、夏子をじっと見つめて大きく息を吸い込んだ。







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