アオハル紙飛行機








アオの優しい問い掛けに、大人数いるうちの1人がハッとしたようにリーダー格らしい女の子にひそひそと耳打ちする。あ、私が最も嫌いなやつだ。





「ねえそれやめてくれない?初対面であれなんだけどー、めちゃくちゃ腹立つんで」


にっこり笑顔でひそひそと話をする女の子を見つめる。


「堂々と言ってもらえるかな。言えないならやんないでよ」

『・・・すみません』







笑顔は作れたくせに怒りは隠せずに思わず声は低くなる。私のそれに肩を上げた女の子は顔を青ざめさせて萎む。




が、さすがリーダー格センター女子。何食わぬ顔で私とアオを見つめて、その後に佳菜子ちゃんを一瞥すると再び私達に向けた彼女の視線は敵意に満ちていた。








『先輩方は藤井さんと仲良しなんですね。そういう人達に理由話してもどうせ藤井さんの肩持つから、無意味でしょうけど』






なるほど、この強さにプラスして数で圧倒されたら佳菜子ちゃんに勝ち目はないに等しい。どんな理由であれ、この状況自体がおかしいことに麻痺した彼女達は気づかない。










『別に藤井の味方じゃないけど』

『え?』

『だから、別に藤井の味方じゃねえって。誰の味方でもねえから理由聞いてんじゃん。な?ハル』









アオの淡々とした声がそのまま私に矛先を変える。

それに驚きながらアオへと視線を向ければ、真っ直ぐと無表情なまま私を見つめている。それは部室に居る時の気だるげでやる気のない怠惰人間丸出しのアオである。







< 264 / 421 >

この作品をシェア

pagetop