アオハル紙飛行機





『えっ、お前無口なの?』





アオは彼女の言葉にびっくりして、後ろの佳菜子ちゃんに振り向いて声を投げかけるが、佳菜子ちゃんは気まずそうに黙るだけだ。








「佳菜子ちゃんが間違えちゃったのって、どれ?」

『え?ああ、あれです、あのメニューのところ、全部ひらがなにしてるし、色とかもお願いしてた色と全然違うからあのメニューだけ浮いちゃうし、』

『それで私達が直そうとしたら藤井さんが「だめ」ってどいてくれなくて』







その言葉を聞いて、佳菜子ちゃんの後ろにあるメニュー表を見る。

ひらがなで書かれた文字にその横には10円玉の数が値段の数だけ書かれていて、明らかに昔ながらを全面に出し切ったメニュー表だ。






「うーん・・・、私これ個人的にめちゃくちゃ素敵だと思うんだけど駄目なんだ」

『だって明らかに浮いてるじゃないですか』

「確かに浮いてるけど、平仮名は漢字が読めない小さい子が来た時のためかなとか凄く優しいメニュー表だと思う」

『・・・だったら、もっと早くに作る前に言ってくれれば良かったじゃん。藤井さん』






リーダー格の言葉の槍が佳菜子ちゃんに飛ぶ。未だにアオの後ろに隠れたままの佳菜子ちゃんにさらに腹が立ったのがリーダー格の言葉が止まらなくなる。






『そうやって私達が悪いみたいにさあ、言ってくれれば私達だって変えたかもしれないし、自分のだけ良ければいいとか思ってるの?』







甲高い声が佳菜子ちゃんに突き刺さる。佳菜子ちゃんの前に立つアオはポケットに手を突っ込んだまま片足に重心を置いて、気だるげに突っ立っては面倒そうにガムを噛んでいる。






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