アオハル紙飛行機







『人が対立し合う時の多くって「自分は間違ってない」っていう見解なわけで。

お互いに自分は正しいって気持ちで相手にぶつかるんだから、そりゃ衝突はするわ理解はしないわで、

──ひたすら平行線じゃね?』








後ろに寄りかかりながらアオは別に説教をするわけでも何でもなく、ただただ意見を静かに述べるだけだ。

そこには優しさも強制も正義も何も無い。







『“間違ってる”ってそれは結局個人の物差しに過ぎないんだからさ、

別にその物差しを相手のためにへし折れなんてことは言わないし、

物差し自体は大切だと思うんだけど』






間延びしたほんの少し低い穏やかな声。





『物差しが相手と違ったのなら、ただ単純に“物差しが違いましたね”で終わらせるのも有りだと思うよ、俺はね』



誰かを特別扱いもせず、誰かを嫌いもせず、淡々と言葉を散りばめる。




『それでもどっちかにしないといけないんだったらー・・・そうだな、ジャンケンだな。運はどうしようもないからな』







へらっと笑ったアオに、もう誰も怒りの声を上げる人なんて居なかった。

こうやって知らぬ間にアオは誰かの心を鎮めて、するすると気付かぬうちに穏やかな場所まで連れていってしまう。









『つーことで、今の俺にジーンと来た人は風船ガム俺に寄越しなさ、ッ!』

「はいはい気にしないでね。じゃあまた、何かあったらいつでもアオハル部に来てね」

『待って風船ガム!風船ガム・・・!』








すぐに調子に乗るアオの首根っこを引っ掴んでぐいぐい引っ張る。

アオのぶつくさ文句を言う声を黙らせるために更に引っ張る力を強めれば苦しそうな声を上げた。







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