アオハル紙飛行機
一般的な男子高校生と違うのはずば抜けて顔が整っていることくらいだ。そして勝部先輩とは真逆のタイプ。
男は私の返事に「良かった」なんてまたしても思ってもないような言葉を吐き出し、するりと私の脇を通り抜けて学年主任と副校長の元へ向かう。
その靴の色は私と同じ、1年だ。
『あ、青井』
『先生、俺に用ってなんですか?』
青井というのか、彼は。彼に期待の目をガンガンに向ける学年主任は座ったまま両手を合わせる。
『青井、学校パンフレットの制服姿の写真を撮らせてくれないか?』
『えー、やです』
『頼むよ』
『忙しいんで』
『青井は部活入ってないだろ?』
『帰宅部忙しいんで』
これほどまでに私の頭の回転が良かったことはないと思う。
私はニィと唇の端を吊り上げてその場に急いで行く。後ろ姿の彼の制服をギュッと掴んで学年主任に微笑んだ。
「先生!私、制服姿の写真いいよ」
『春井!本当か!?』
「ふふーん。嘘は吐かないもの」
『ありがとう。いやあ、本当に助かる』
ふふん、と鼻高々にする私の肩をトントン、と優しく叩いたのは紛れもなく美男子。