アオハル紙飛行機






「・・・“寂しい”で終わらせたくないのは私の我が儘?」





ぼんやりと天井を見つめたまま、ぽつり、と本音を吐き出す。隣でアオも私と同じようにソファーの背もたれに身体を預けて天井を見上げる。





『知らね。でもまあー・・・人に行動力が生まれる時って大体我が儘が付きものなんじゃね』





2人の静かな呼吸だけが部室の空気を揺らす。2人で同じ格好して、天井を見つめて、お互いに何かに浸って、ただただ思いついた言葉を遠慮なくぶつける。そんな空間って、きっと、当たり前じゃないんだなってふと実感する。






「・・・大切なものは失くしてから気づくものだって言うけど、私は大切なものに限らない気がする」






だらだら、と次から次へと浮かぶ言葉を一方通行で投げてみたり、





『例えば?』


たまに返ってきたり、


「当たり前。でもこれ大切なものに入る?」


アオと2人だけの空間で部室中に輝きのない星を散りばめる。


『さあ?人それぞれじゃね』

「じゃあ確実に大切なものってなんだろ」






アオは私の言葉に、暫く瞳を閉じた。黙り込んだアオに頭だけ動かして視線を投げる。アオは私と同じように背もたれに頭を預けて上を向いている。あまりにも綺麗な横顔はまるで陶器のようで、叩いたら壊れてしまいそうだ。





長い睫毛が震えるように動き、それに伴ってアオの瞳がゆっくりと光を吸い込むように開かれる。






< 275 / 421 >

この作品をシェア

pagetop