アオハル紙飛行機






『変われないことも、変わることも、心底怖いけどね』

「・・・そう、」

『ん。』





あまりにも優しげな瞳に見つめられて、何も言えなくなる。そんな顔をするのかと。そんな顔をさせる相手が居るのかと。きっと、真奈美ちゃんではない誰かが居るのだと。





私の知らないアオをきっと、これからアオと結ばれたその人は知っていく。たったそれだけの真実に目を背けるように、アオから顔を逸らした。






先程の優しさなんて欠片も見せることなく私の顔を無表情に見つめて問い掛けてくる。






『・・・で、どーすんの』

「な、なにがだよ馬鹿」

『いやいやいや今のに馬鹿はおかしいでしょ』

「いいじゃんどうせ年中無休で馬鹿なんだから」

『あー確かに、じゃねえだろ馬鹿』






そう言いながらアオは私より先に背もたれから身体を引き剥がした。



いつもの調子に戻れたきっかけを得たことは有難くて思わずそれにすがり付く。アオにわざと、仕組まれたなんて少し実感はしながらも。





「やっぱり私、森さんに御礼したい」

『うん』

「少なからず私達は森さんと同じ場所で過ごしてた。みんなにとっては当たり前に綺麗になってる場所も当たり前じゃない。いつの間にか整えられた場所も「いつの間にか」じゃない特定された間があったってこと、知って欲しい」





アオは私の言葉に黙ったまま、私の顔を見つめてくるだけだ。






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