アオハル紙飛行機







「今日まで本当にありがとうございました!また、いつでも、会いに来てくださいね。ありがとう!森さん!」





私の声に続いて、次から次へと生徒達が森さんに御礼を叫び始める。これは予想していなかったことで、私もびっくりする。




「えっ」

『今なら、ほとんど皆が森さんのこと知ってるわよ』

「夏子」





いつの間にか私の隣で森さんに手を振る夏子。驚く私に視線を向けて、ポケットからスマホを取り出し私にある画像を見せる。





「・・・なにこれ」





そこには、1枚のルーズリーフの画像。夏子からスマホを受け取ってそれを拡大する。そこには《これを読めばあなたも森さんの虜になる!かも》と題された今まで森さんが黙々とひたすらこなしてきた仕事がびっしりと書き込まれていた。





ずっと森さんと仲良くしてた私も知らないことだってある。そっと顔を上げて夏子に視線を向ける。これは、






「・・・アオの字」

『とにかく拡散してって。昨日の夜中回ってきたの。おかげでこの画像持ってる人相当いるんじゃない?』

「夏子、教えてくれてありがとう」





私はアオのクラスに1番近い窓から顔を出す。私達のクラス同様、森さんに手を振って騒ぐ隣のクラスの中からアオを探す。が、やはりみんな身を乗り出しているためなかなか見つからない。





「アオーっ!アオ、ありがとう!!」






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