アオハル紙飛行機
部記録その21

傘無しで雨の中歩くと走るか歩くか真剣に考え出してる間に家に着くやつ






雷は突然、私に落とされた。





真奈美ちゃんの新巻が出たと鼻歌混じりにソファーに寝そべって少女漫画を読み耽るアオ。





「ねえ、勝部先輩いないんだけど」

『動物園に帰ったんじゃね』

「ぶっ飛ばす」





放課後の私の習慣となっている勝部先輩観察。どうやら本日は不実行になるかもしれない。




部活は引退したが、後輩からの信頼も厚く、大学も野球を続けるということもあって部活に毎日のように参加していた勝部先輩が、いない。





「ええー、今日土日用の勝部先輩の写真持ってきてないのに」

『なにそれハル怖い』





ぶーぶー不貞腐れながら、私の後ろで1人楽しむアオが狡くて腹が立った。のでアオに双眼鏡を投げつける。見事それがアオの足に当たってアオがキレ気味でこちらを睨む。






『あんだよ八つ当たりしてんじゃねえよハゲ』

「真奈美ちゃん実はヅラらしいよ」

『そんなわけあるか馬鹿かつーか真奈美ちゃんはヅラでも可愛い』

「うわ」





そんな時、ドンドン、と部室をノックする音が聞こえる。アオと睨み合っていたが面倒になったし、暇なので先に私が降参して扉を開けに行く。






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