アオハル紙飛行機
それでいて困ったように笑いながら私の頭を、ぽん、と撫でた。
その手は、あまりにも優し過ぎて、ほんのたまに、時々不意に思い出すくらいには私の心に残った。
『つーことで、俺もえーと・・・変態部に入ります』
「双眼鏡部ね!てか、は?なに変態部っておい」
『そのままの意味だけど変態さん、あ、違うか』
「きみそれわざとでしょ」
くるりと学年主任の方に向き直った私と青井くんに、学年主任は目を見開く。「マジでか」みたいな顔しやがって。
『あ、いや、うん、特別に今回は許可するけど部費は他の部活よりの半分になるし、さすがに双眼鏡部って名前はやめてくれ』
「やった!うん別に部室が貰えるなら部費そんなにいらないし、部の名前とか心底どうでもいい!」
『それ部活創設者が言う台詞じゃないと思うんだけど、春井さん』
的確な突っ込みを青井くんから受けて、それと同時に「春井さん」と初めて呼ばれたなと実感する。青井くんに春井さん。
「・・・アオハル部」
『え?』
「アオハル部にする。それならいいでしょう?先生」
『ん?あ、まあな。双眼鏡部よりはマシだからな。この後、1年2組で教室バックにして写真撮るから先2人で向かっててくれるか』
職員室を出てパラダイスな私と特になんともなさそうな顔をしながら私を見つめてくる青井くん。私は救世主の手を取り、深く頭を下げる。