アオハル紙飛行機
2人でビビりあがる。アオは私の顔を隠すためか、慌てふためいたせいか、確実に後者だが私の後頭部に手を回しグッと自分の身体に引き寄せた。
とん、と額がアオの身体に当たってその心音を間近で感じる。暖かなその音に、優しさに、思わず自分から頭を預けていた。
『っくしゅん!ごめん、くしゃみでかくて』
『ほんとうるさいくしゃみ。はいティッシュ』
『わあー女子力!ありがとう!』
なんて声が聞こえてきて、なんだそういうことかと思いながら安心する。私の頭は未だにアオの胸に預けたまま。
『んだよもうビビらせんなよ明日ぜってー拓人の鞄にティッシュ詰め込んでやる』
アオの手が私から離れ、溜息混じりの声が頭上から降り注ぐ。手を解いたのに動かない私にアオが不思議そうに私の名前を呼ぶ。
『ハル?』
「・・・アオって生きてるんだね」
『は?え?ちょっ、俺死んでたらどゆこと』
「心臓の音、うるさいなあって」
『───いつもは、こんなうるさくない』
「うん、静かになんないかなあって」
『やめて殺さないで』
なんて話していれば、上映時間を迎えたらしくシアター内が暗くなった。そこで安心してアオは私から離れると疲れたように背もたれに身体を預けて目を閉じた。
「(寝やがった)」
とかなんとか思いつつ結局私も眠たくなって目を閉じれば2人して映画が終わっても爆睡する始末だった。