アオハル紙飛行機








『青海、青海』

「ん、なつ、こ・・・夏子!?」




肩を揺すられて、重たい瞼を持ち上げた先、視界に映り込むのは夏子だ。目が覚めて、頭が冴えて、思わず大きな声で夏子の名前を呼んで慌てて口を手で覆う。





『取り敢えず外出るよ。ほら、隣のガキ、叩き起こして』




夏子の呆れた声に隣を見れば、大層幸せそうに眠るアオ。その綺麗な寝顔さえも今はそれどころじゃねえだろという気持ちをありったけ込めてビンタする。




『ん゛!?ッいってー・・・なんだよみんなしてさー・・・みんなして?え?え?』

「い、いいから行くよ」




アオは私のビンタを無防備に受けて、びっくりしながら目を覚ます。不機嫌そうに私達を見て、夏子と故原くんを見て、固まった。


慌ててアオの服を引っ張り、呆れた様子の夏子の後ろを2人で顔面蒼白になりながら着いていく。これはとんでもなく予想外だ。





「『ごめんなさい」』

『謝って済むと思ってるの?』

「『うん」』

『済まないわよ』





映画館を出て、2人で横に並んでしょぼん体で腕を組む夏子に謝る。そして甘ったれダダ漏れである。



夏子の横で両手をポケットに突っ込んで困ったように笑う故原くんもこれは予想外だったらしく、ただただ私達を見守る。






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