アオハル紙飛行機








「・・・アオ、やっぱり遺言書聞いとくよ」

『やめろよそういうガチトークいらねえよもっと怖くなるだろーがばかっ!』





マフラーも取り外しになっているのでアオは震える手でマフラーを外す。そしていよいよ訪れた私たちの番。戻ってきたジェットコースターを降りる人達の中で小さい女の子が笑っているのを見て安心する。





『あの子天に召されて頭おかしくなったのかな』

「それはお前の頭だ」






その子を見ながらアオが真面目に言うので本当に馬鹿なんだなと思う。私はさっさとジェットコースターに乗り込む。



アオはもう怖すぎるのかひたすら無言でやけに姿勢正しく座り必死でベルトを締めている。確認にきたスタッフさんに逝ってしまった目のまま物凄い迫力で迫る。





『お兄さんの確認にかかってるんだよ俺の命軽々しく確認しないであと150回くらい確認してください』

「あ、お兄さんそいつベルト無しでもいいレベルなんで」

『いやだぁあああ・・・!まだバキバキぐちゃぐちゃになりたくないの俺!』




確認を終えて、スタッフさんがこちらの気も知らずに「いってらっしゃーい」なんて笑顔で送り出す。と、隣からにゅっと手が伸びてくる。




『ハル手繋いでてお願い一生のお願い』

「アオの一生軽いね」

『うるせ今それどころじゃねえ俺の一生今終わるかもしんねーだろ』

「それはないでしょ」





ぎゅ、と絡められたアオの手は緊張しすぎているせいか冷たい。上り始めたジェットコースターに楽しそうな声の中、隣のアオは本当に苦しそうに目を瞑って泣きそうだ。






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