アオハル紙飛行機







「〈さっさと帰れ〉だって」

『・・・おれきょーぜってー・・・ジェットコースターの夢見る・・・やだほんと』




未だに両手で目元を拭いながらそこを赤くしてずびずびするアオに溜息をついて、ハンカチでアオの涙を拭う。




『・・・ありがと』

「泣いてもいいけどさあ」

『ん?』

「私も一緒に泣いてやるから、もっと泣く沸点高くしなよね」

『・・・ふはっ』




くしゃり、と目尻を垂らして屈託なく笑うアオに驚く。別に私変な事言ってないし、遠回りに泣き虫って言ったのに。なんで笑ったの。



アオは瞳を涙の膜で濡らしたまま、どこかとても嬉しそうに目を細めて。私を見つめると瞳の奥を見据えるように更に瞳を細めた。





『ハルは変わんないね』

「え?」

『んーん、なんでもない』




あまりにも穏やかな微笑みを零すアオに何も言えず、黙り込む。アオがふと白い息を空に吐き出して空を見上げた。






『・・・ハル、明日映画観に行かない?』




それに私も釣られて空を見上げれば、一番星だけが夕方の空に光る。



『終業式、終わったあと』






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