アオハル紙飛行機






『私のお姉ちゃんが女は愛するより愛される方が幸せになれるって言ってたけど、そんなの17歳の私達じゃわかんないって感じでさ』





多分私達は恋愛というものを知らない。でもそれってきっと私達だけじゃなくて、むしろ私達が大人になっても答えなんてわからないのかもしれない。



答えを欲しがるくせに、変化を恐れて、気づくことを恐れて、何もかもに蓋をして、今の関係に逃げ続けている。でもそれが堪らなく居心地が良いとさえ思ってしまう。





『好きかどうかはわからないけど、ただ今は、もしも故原くんの隣で笑うのが他の女の子だったらって思うと泣いちゃうかもなって』

「・・・他の誰か、」

『青海、最近双眼鏡持ち歩かなくなったよね』

「え?」





いつも暇さえあれば教室でも廊下でも、下手したら体育の授業でも首から双眼鏡をかけて隙あらば勝部先輩を探していた。



夏子はくすくすと笑う。何かを見透かしたように私の双眼鏡の掛かっていない首元を指さしながら言葉を零す。





『それってさ、勝部先輩を諦められたってこと?それとも──双眼鏡がなくてももう傍で見つめられる人ができたってこと?』

「わ、わかんない」

『まあ、そっか。別にいいけどさ、“我慢”って相当しんどいみたいだよ』






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