アオハル紙飛行機







『ああああゲルゲドン・・・っ!うううう、ゲルゲドンんんん・・・っ!もうさ、ゲルゲドンが健気でさ、涙止まんねえ』

「私も・・・!ゲルゲドンがジャッカルタの首輪を解いてあげるところめっちゃ泣いた」

『あれは泣くだろやばかった本当に。ジャッカルタのさ、よだれを涙に見立てたところがさすがだわ』

「うんうん!ゲルゲドンほんと最高」






映画の途中から、私とアオの啜り泣く音が止まらなくなっていた。映画館を出て歩きながら2人で馬鹿みたいに涙目でゲルゲドンについて話す。ゲルゲドンで泣いていたのは私とアオだけだった。



2人でお腹も空いたので適当にファーストフードに足を運ぶ。その間もひたすらゲルゲドンの話だったが、涙が止まらなくなるので一時休戦した。





「アオは冬休みどうするの」

『ん?ああ、ミカン食うよ』

「何その予定」

『ハルは?てか部活はどうなんの』

「なーし。勝部先輩、大学の遠征参加するみたいだし」

『お前それさ盗聴とかしてないよな』

「盗み聞きしかしてないし、これは2年のマネージャーの子から聞いたの」





ハンバーガーをもぐもぐする私。アオも同じようにハンバーガーを飲み込みながら相槌を適当に打つ。周りには至るところにカップルで、それにアオは綺麗な顔を歪ませてシェイクを飲む。





『つーかクリスマスにカップルでここって。もっとリッチなとこ行けよお前らはさー』

「好きな人となら何処でも幸せなんでしょ」

『そういうもん?』

「そういうもんなんじゃない?」






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