アオハル紙飛行機





ふうん、と意味深に鼻を鳴らしながら当たりを見回すアオ。そしてシェイクを飲むアオが不意にハンバーガーを頬張る私に視線を向けた。その瞳は相変わらずやる気がなくて面倒そうで、でも少し残る涙の余韻。





『──じゃあハルは今幸せ?』

「え?あ、うん。楽しいけど」

『あそ。それならいい』





奴は私の返事に満足気に微笑を漏らした。そのままこちらに手を伸ばし、ぐっと、私の口の横についたソースを指で拭ってくれた。




その極々自然な行動に今まではなんとも思わなかった。それなのに、今日のアオの変な単語のせいで、同じシチュエーションで私じゃない女の子にアオが同じことをやっている所を想像してしまう。





「・・・ありがと」

『食いしん坊』

「あ?女の子にそういうこと言うな馬鹿」

『女の子とは。』

「真顔ヤメロ」





そこで不意にアオが何かを思い出したようにポテトを食べながら私に緩い声を飛ばす。





『修学旅行のさ、2日目一緒に回るじゃん?』

「あ、うん。計画表合わせてくれた?」

『大丈夫。そん時に、拓人が平野さんに告るんだって』

「へえー・・・え!?マジでか」

『最近、口を開けば平野さん平野さんってさ、アイツ頭壊れたよ』

「じゃあ2人きりにさせてあげた方がいいの?」






2年の最大のイベントは冬休み明けにすぐ訪れる修学旅行。修学旅行とは言いつつも、本来は学習研修が目的なので初日は有名大学を見学することが1番。






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