アオハル紙飛行機








全体で1日目の行動を回り終え、2日目からが実質私達が楽しみにしている修学旅行の始まりだ。

基本的に最低2人組で巡る場所を計画表に提出すれば、朝解散して夜時間通りにホテルに戻れば何も問題はない。





『ううん。さすがに緊張するから、告白する直前まで4人でいたいって』

「故原くんって緊張するんだ」

『アイツめちゃくちゃ緊張しいだよ。数学の小テストで手汗すげえもん』

「それやばくない?」

『俺は冷や汗凄いけどね。わからなすぎて』

「同感」





2日目は故原くんの強い願望で4人で回ることになった。いつもの面子で尚更修学旅行感がなくてただただ遠出するだけの気分だ。なんて言いながらも本番になって1番はしゃぐのは私だ。





「故原くん成功するといいね」

『平野さんは拓人のことどう思ってんの』

「よくわからない」

『拓人、振られたら、どうすんだろ』




ぼや、と呟かれたアオの言葉。それはぼんやりとした顔から滲み出るアオの純粋な想いなのだろう。それに私も何も答えられず、飲み物を飲む。




そんな私に構わず、アオはぼーっと何処か遠くを見つめたまま、頬杖をつく。





『告ったらもう、戻れないじゃん。良い意味でも悪い意味でも、後戻りなんてできない』


頭で浮かんだ想いをそのまま口に出すアオ。


『───今の居心地が良ければ良いほど、戻れなくなるのが怖い』

「・・・うん」





不意に何かを思い出したように息を吐き出し笑うアオは、身体を伸ばして私に言う。







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