アオハル紙飛行機








『今からさ仲間と集まってカラオケ行くんだよ。青井も行こうぜ、祝ってやるから』

『あー・・・・・・、』




爽やかな笑顔でアオの首に腕を回す岡本くん。アオは苦笑いを蔓延らせながらめっちゃ嫌そうな顔をする。アオが断る前に耐えきれなくなった私が岡本くんからアオを引き剥がす。だってこんなアオ、見たことがない。



アオの腕に手を絡めて、眼光鋭く岡本くんを睨みあげ、女とは思えぬ声を飛ばす。






「むさくるしい奴等よりも私みたいな可愛い女の子と居た方が楽しいに決まってんだろ空気読めよハゲ」

『はっ!?』

「それ以上アオに話し掛けたら回し蹴りするから。ほんじゃ、私達行くんで」





あまりにも乱暴な女の姿に呆気に取られた岡本くん。そんな彼を置いて振り向くとさっさとアオを引っ張って歩き出す。



暫く歩いていたが、隣で黙っていたアオが力の抜けたような笑い声を小さく上げる。






『むさくるしい奴等と“暑苦しいメスゴリラ”だったらむさくるしい方がマシだな』

「はあ?アンタが早く断らないからでしょ。嫌なら嫌って平手打ちすればいいのに」

『平手打ちはやり過ぎ』

「でもそれくらい嫌な感情だったくせに」





伊達に2年一緒にいる訳じゃないんだから。電車が来て、2つの空席を見つけてそこに隣同士で座る。







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