アオハル紙飛行機








『“なくならないもの”だってあるだろ』

「そんなの、わかんないじゃん。一緒になくなっちゃうかもしれないじゃん」




例えば、アオみたいに。なんて口が裂けても言えないけれど、私達はアオハル部で繋がるきっかけが生まれた。謂わばそれまでは全くもって接点などなかったのだ。




別れも、終わりも、突然終わるものだとここ最近、嫌なくらい思い知らされる。その矛先が、私の大切な存在ばかり。だから、アオがなくならないなんて保証はどこにもない。





「なくなったらもう、終わりだもん。なくならないと思ってたものばかり、消えてっちゃう」

『なくなったもんばっかり数えてるからだろ』





その凜とした声に、ゆっくりと振り返りアオを見る。そこには、心底つまらなさそうに少女漫画に目を通していたアオ。





『なくならなかったものまで、見落としてどうすんの』




アオはそう言いながら、瞳を私に寄越す。





『なくなったもんがないのは紛れも無い事実でそれを捻じ曲げることなんてできない。ただ、その事実をどう受け止めるかは自由なわけで、』


「・・・うん」


『なくしたものは、今あるもんの大切さを教えてくれるものだと俺は思うんだけど』





アオの真っ直ぐで無駄に綺麗なその瞳に射抜かれて。飄々と述べる低音に胸を突き刺されて、ネガティヴ気取りな自分に気づかされる。






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