アオハル紙飛行機









今日のルートは、みなとみらい、元町中華街に鎌倉、江ノ島でみなとみらいに戻るルートである。ちなみにもう既に午前中の大半を使ってみなとみらいと元町中華街は制覇した。





「鞄重い。元町中華街で栗、買い過ぎた」

『ほんとハル馬鹿。なんで断らねえんだよ、良い餌食にされてたじゃん』

「だって、一生懸命話しかけてくれるんだもん」

『青海ってそういうとこあるよね』





呆れ顔のアオと呆れ顔の夏子に前からも横からも挟まれて、身を縮こめる。


めちゃくちゃ栗を買っていたら、豚マンを買って来てくれたアオが慌てて私をそこから引っこ抜いてくれたのである。





「お金もうやばい」

『いつでも買えるのにCDなんか買うから』

「今日発売日だったんだもん」

『なんでハルってそんなに単細胞なの』

『あ、紫春、モバイルバッテリー持ってない?』

『え、お前もう充電ないの。早くね』

「私もないや。充電しなきゃ」





アオが鞄からそれを取り出し、隣の故原くんに貸していたのを見て、私も自分ので充電する。写真や電車の時間、色々調べ物をしていたらすぐに充電がなくなってしまう。




隣でうとうとする夏子に私も釣られて眠くなってくる。すると正面で突っ立っていた長身スタイル良し男なアオがそんな私に気づく。





『ハル、眠いんだったら寝ていいよ』

「ん?あ、ありがと」

『着いたら起こすから。イビキかかない程度で寝て』

「アンタはほんっとに一言余計なんだよ可愛い寝息しかかかねーよばーか!」

『可愛い寝言とか、ハルから聞こえてきたらなんか怖いきもい』

「うざ!後から悶えても知んないかんね」

『あーはいはいはい』





優しいかと思えばすぐこれだよ。アオは私の反駁にめんどくさくなったのか、鬱陶しそうに私を見つめる。と、会話を終わらせるために私の頭を乱雑に撫でる。







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